2013年4月8日月曜日

皇居東御苑・鶯谷町・鉢山町

4月4日、やっと晴天のもとでの散策です。昔から言われるように、桜の頃はすっきりしないお天気が多いですね。

今回は東京のど真ん中、千代田区の皇居東御苑に行くことにしました。実は私、ちゃんと隅々まで歩いたことがなかったのです。

皇居東御苑はネットの地図で見ても、どこが入場可能な入口で、どこまで入れるのかよくわかりません。また、東京駅から徒歩で行けて無料である割に、メディアでは観光スポットとしてあまり推されていません。来ているお客さんも、外国からの方がかなり多いです。ちょっと特殊な観光地ですね。

▲丸ノ内線大手町駅から大手町ビル地下街を通って、大手門へとやってきました。皇居東御苑は大手門(大手町駅が最寄り)・平川門(竹橋駅が最寄り)・北桔橋門(きたはねばしもん、武道館方面)から出入りできます。入口で入園票の札をもらい、出る時に返しますが、入園は無料です。内部にはいくつかの売店・自動販売機もあります。なお月曜日と金曜日はお休みですのでご注意を。


▲さっそく売店に入ってみます(笑)。土産物以外ではアイスを買うことができますが、なぜかモナ王が大量に販売されています。これだけモナ王を詰め込んだ冷凍ケースは都内でもここだけかも知れません。モナカにご紋が刻まれている・・・というわけではもちろんありません。

売店では「江戸城の昔と今」という地図を買いました(¥400)。パンフレット類もあるので、入園の際は立ち寄ってみてください。

三の丸尚蔵館(これも無料です)を見たあと、あらためて散策をスタート。


▲東御苑にはさまざまな植物が植えられています。この日はシャクナゲが見頃でした。灰色・茶色の写真ばかりのこのブログも、今回は花が多数登場します(笑)。


▲石室です。説明板によれば天井には長い石が使われているということで、中に入ることはできませんがカメラを地面につけて撮ってみました。なるほど確かに。


▲天守閣跡です。そんなに高いわけではないのですが、観光客は一応登ってみるスポットになっています。私も登りました。


▲天守閣跡から芝生の広場を見たところです。さすがに広くゆったりとしていて、都心にいることを忘れてしまいますね。


▲いろいろな種類の桜も楽しめます。外国から来た方々もよく写真に収めていました。


▲ヒカルゲンジです。ツバキは終わりつつありましたが、まだまだ頑張って咲いていたので一枚。


▲和紙の原料としても知られるミツマタです。花火のようで面白い花ですね。触手のようでもあり、見方によっては怖いですが(笑)。


▲江戸城と言えば石積みも見どころです。巨大な岩でぴったりと積まれたものもあれば、このように乱積みのものもあります。近年修復された石積みもあり、その解体・発掘の際の資料が説明板に写真・図面つきで掲載されています。


▲花ばかりではなく、雑木林もあります。向こうのビルが見えないくらいの林です。また、竹林、梅林、各都道府県の木などさまざまなコーナーがあります。


▲豊富な種類の植物に触れることができ、これらの植物をどうやって撮るか、だんだん楽しくなってきました。普段はあまり撮らないのですが。


▲こちらは二の丸庭園です。背後の道からは池を見下ろすこともできます。


▲▼シャガです。とても立体的な花です。これも見頃でした。花は1日しか保たないそうです。

▲二の丸庭園の池には鯉もいます。ちょうど桜の花びらが水面を覆っていました。水は奥の水路から人工的に引いているようです。


▲つぼみもいいものですね。思わず顔を描いて擬人化したくなります。

東御苑は植物の知識があるといっそう楽しいだろうなぁと思います。主要なものには名前が書かれていますが、草木の詳しいことは私もそんなに知りませんから、木々や草花についてもっと勉強したいと思いました。雑草の知識はまち歩きにも応用できますしね。

それと、ここは特に外国人旅行者が多いので、外国語ができるといいですね、やはり。私はイタリア語を少しだけ独学したほかは、あまりできないので・・・。

広いので何時間も楽しめてしまうのですが、そろそろ北の丸方面に移動します。



▲宮内庁と東京都、境界プレートのせめぎあい。


▲どなたの像かいままで知りませんでしたが、北白川宮能久親王だそうです。明治36年に建てられたそうで、実は古いものなんですね。


▲その先にあるのが東京国立近代美術館の工芸館です。明治の陸軍の建物を改装したものだそうですが、手前のオブジェの存在感が大きいですね。


▲北の丸公園は皇居東御苑に比べれば「気楽な公園」です。若干整備が行き届かないところはあるにせよ、都心で公園に集まりたい時には利用価値が高いと思います。


▲田安門、これもあまり注目されませんが、現存するものでは一番古い江戸城の建物で、国の重要文化財です。

パレスサイドビルで昼食でも、と思ったのですがなんだか時間もお金ももったいないので、地下鉄で渋谷に移動しました。ちょっと用事があるので、中目黒まで歩きたいと思います。


▲製図学校前の不思議な擁壁。元々飛び出した高い土地があったようですが、ビルにする際に中身だけ削って同一地平にしたようです(反対側も同様になっています)。地図にするときに製図しづらそうです。擁壁部分の土地の持ち主の関係でしょうか・・・?


▲鶯谷町の狭い路地です。境界杭の位置を見ると、ちゃんと隙間があるのがわかります。


▲川跡の道から這い上がる坂道ですが、あきらかに段差を埋めたような感じです。こういう坂道も私は好きです。


▲暗渠(川跡)の遊歩道に入っていきます。この道沿いは「鶯谷○号階段」とわざわざ階段に名前がついています。まるで橋みたいですね。


▲このあたり、なかなか雰囲気が良いですね。いかにも川にいる感じがします。


▲暗渠はこの先で一旦行き止まりになります。だんだんいつもの灰色っぽいブログになってきましたね(笑)。


▲鉢山町に入り、ここが続きです。少し先の左手に鉢山公園があります。


▲この階段から先は単独の水路跡はなくなりますが、この流れは三田用水につながっていたものです。

都立一商の横から代官山に出ます。中目黒まではもう少しです。


▲代官山交番前の歩道橋からの一枚。工事現場に残された橋! もちろん人工の水路ですが・・・。


▲目切坂の上にあるお地蔵さん。文字が刻まれ、道標も兼ねています。1818年に造られたものとか。代官山にもこんな一角があったんですね。


▲これが目切坂です。ここは鎌倉街道でもあり、古くからの道です。木々に囲まれた、景観の良い坂道だと思います。抜ける車も多いのですが。


▲▼坂下にある住宅跡地には桜と蜜柑が。


▲目切坂から分岐する徒歩道です(先ほどの木もここにあります)。この両側は空き地になっていて緑が濃いのですが、何に利用するつもりの土地なのでしょうか。

ということで、ようやく中目黒に到着しました。この日はよく歩いています。

目黒川では桜まつりをやっていましたが、ほとんど散っていました・・・。


▲蛇崩川緑道から諏訪山に登る、狭い階段坂です。左は廃墟のようです。通る人も少なく、ちょっと不思議な抜け道です。


▲中目黒はでは日暮れの様子を見たかったため、こんな感じになる時間まで粘りました。このあたりもガード下の店舗がなくなり、すっきりしすぎてしまいましたね。


この日は撮影枚数が600枚にも及びました。よくデジカメ電源が持ったものだと思います。とりあえずいつかちゃんと行こうと思っていた東御苑を歩けたので、満足な一日でした。もっと都心に住んでいたら通いたいくらいなんですが、ちょっとそういうわけにもいかないのが悲しいところです・・・。





2013年4月4日木曜日

月島・佃島

年度が明けて4月1日となりました。前の2日間に比べお天気に恵まれたこの日は、中央区の月島・佃島に行くことにしました。

私は東京のなかで月島が特別好きというわけではないのですが、月島の路地はちゃんと観察しておかなければという思いがずっとあり、それを決行したのです。ということで、以降は主に路地の写真です。おそらく路地の9割くらいは撮影しましたが、その中で比較的雰囲気の良かったものをザッと紹介します。

※今回は路地の中はあまり歩いてません。歩行距離が倍増してしまうので・・・。もんじゃは元々好きではないので食べてません(笑)。

月島は清澄通りが中心を貫いていて、北側(西側)に西仲通り、西河岸通りの2つの表通りが並行し、それぞれの間にやや狭い裏通りがあります。その裏通りと表通りを結ぶ路地の風景です。


▲まずは商店街のある側の路地を見て周りました。古い埋立地である月島は(マンションを除き)ベッドタウンではなく、ここで働き暮らす人が多い土地です。また、もんじゃ目当ての観光客もそこそこ来るので、昼間でも人がけっこういます。そのため、常に人がうろうろしていて、あまり落ち着いて写真を撮れる感じではありません。



▲月島および佃、また築地の路地に多いのは、真ん中に溝ブロックがあるタイプです。両側には植木鉢・プランターが並び、庭はないけれどちょっとした庭木があったりします。路地側でしか空間に面していないので、多くの家に簡易な作りの物干しスペースがあるのも大きな特徴です。簡易な電柱も通っています。



▲裏通りにある柏山稲荷神社と厳島千人力弁天大神です。民家にぴったりくっついていて、奥から話し声が聴こえます・・・。



▲ここは溝こそないですが、典型的な月島の路地といった雰囲気です。ごちゃごちゃしてはいますが、ごみごみしてはいないのがいいですね。



▲この路地がもっとも商業色がありました。私以外にも、覗きこんで写真を撮る人が何人かいました。これでもっと商店街的になると面白いですが法律上厳しいですかね・・・。



▲このコンクリート舗装の路地もなかなかに生活感があります。



▲少し路地から離れます。これは川沿いの区営住宅の敷地角にあった境界杭です。「物揚場」とは水深の浅い岸壁のことだそうですが、杭に書かれているのは初めて見ました。航空写真では昔の岸壁のようなものが住宅の奥に残っているようで、いずれ対岸の晴海から確認してみたいところです。



▲マンション下がカラフルなテントの商店街のようになっているここも、なかなか特異なスポットだと思います。軒数が多いですね。元々の地主さんがそのまま商売をしているのでしょうか・・・。



▲路地に戻ります。清澄通りの南側、商業地から遠いほうに入りました。やはりこちらのほうが落ち着いた感じです。建て替えがやや進み、家の大きさもややゆったりして見えます。人も少ないので歩きやすいですね。



▲明治に街が開かれた月島には、いまも古い家屋が点在しています。出桁造りの家屋が左手に見られます。



▲だんだんと素朴な造りの家が多くなってきました。長屋的雰囲気がありますね。



▲ここがその極めつけでしょうか。いかにも簡素な長屋っぽい感じです(路地なので長屋でいいのですが)。元々はみんな長屋が並んでいたといいます。



▲隣の路地も同じような造りの家が並びますが、行き止まりになってしまっています。木造の物干しスペースの造りに特徴がありますね。


月島はこれくらいにして、佃地域に進みます。佃島は江戸時代からの漁師町ですが、まずは後年に埋め立てられた新佃島側から。


▲いきなりですが、旧新佃島東町一丁目で雰囲気満点の階段路地を発見しました。こんな段差があること自体、不思議です。この向こうでまた下るので、少し小高くなっているということになります。砲台でも作ったのでしょうか・・・。



▲低いとはいえ、擁壁は煉瓦です。かなり古い年代のものでしょうか・・・。階段はもうひとつ横の路地にもありました。



▲その先の行き止まり路地にもまた階段があります。が、これはほとんど埋めて坂道に近くしてありますね。ここは奥の堤防に近づくために高くなっているのでしょう。



▲隣のここは左側をスロープ状に埋めています。やはり行き止まりです。排水の溝もあり、面の構成が面白いですね。



▲カクンとなった路地です。新佃島はそろそろこのくらいにして、佃島に移動しましょう。せっかく桜の時期なので石川島公園を回りこんで行きたいと思います。



▲堤防沿いは個室市民菜園のようになっていました。しっかりとした台まで設えてありましたが、公式なものなのでしょうか。



▲佃3丁目公園裏の、本来は路地とつながるところには小さなコンクリート橋がありました。排水路を渡るもののようですが、見ての通り、金網の門で遮蔽されています。こんなところに水路があったこと自体も驚きです。



▲散りかけてはいますが、石川島公園の桜はまだまだ楽しめました。左手がマンション街です。散策する人はもちろん、花見をするグループもちらほらいました(思ったより少ない?)。



▲あまり注目されることのない河川敷のこの公園ですが、各方面にたいへん見通しが良く、散歩には打って付けです。もともとは石川島造船所があった土地を再開発したものです。



▲中央大橋の裏側です。カーブ具合と骨っぽい造りが面白いと思います。もちろん船も通ります。



▲やっとのことで佃島に到着しました。住吉神社の鳥居の前です。枝垂れ桜が見頃ですね。



▲佃島は佃川支川がいまも船だまりとして生き残っていて、漁師町としての面影を感じることができます。周辺は小さな公園になっていて、ほっと一息つけるスポットです。



▲佃川支川から石川島のマンション群を眺めたところです。新旧の住宅の対比に水辺が加わった面白い景観で、私としてはイチオシの撮影スポットです。なかなかまっすぐに撮れないのですが・・・。



▲佃島の路地は月島よりさらに狭いものが主体です。このあたり、漁師町らしいですね。



▲ここまで狭いと、漫画のように2階同士を渡ってしまうのも可能ですね。入口の段差も特徴です。植物はさすがに少なくなっています。



▲佃島には井戸もいくつかあります。生活の匂いが濃い集落の風景そのものですね。



このあと、佃大橋から聖路加タワー、あかつき公園、築地と歩いて銀座を目指しました。そのあたりは割愛します。ちなみに築地の路地も似たような特徴を持っていますが、路地そのものがやや少なくなっています。


さて、前日にシネパトスが閉館した三原橋地下街に到着です。


▲耐震性の問題での取り壊しとは言われていますが、実のところは長年、目的外の不法入居として問題になっていた建物でもあります。



▲たくさんの関係者のサイン色紙、そして寄せ書きが飾られていました。夕刻の数分間ですが、これを見に来る人も何人かいました。

私はあまり映画館を使わないので、特に感慨はないのですけどね。



▲今日の歩行の終点・銀座4丁目交差点では、結婚するカップルの撮影が行われていました。このあたりはオープンカーで新郎新婦が巡回したりといった光景も見られます。お幸せに・・・!。


ということで今回は路地を中心に見て回りました。月島は商店街側が注目されがちですが、明治以来の街のかたちをよく残している場所でもあるので、地図を確認しながらいろいろな街路を見るのも「東京らしさ」を感じ取る散歩として楽しいと思います。また、銀座方面とも意外と近く、漁師町から下町、繁華街へと変わる風景を水辺とともに楽しむのも良いものです。

私は再開発ビルはけしからん、とか、元の家々を残せ、ということは特に思っていません。何しろ私はよそ者であり、街づくりは当事者が決めることです。ただ自分が歩くその時その時に見える風景を最大限楽しめれば、それで良いのではないかと思っています。またそれこそが、変化の激しい日本の街を楽しく歩くコツではないでしょうか。