2014年4月3日木曜日

沼田・水上

前回歩行から1日置いた、4月3日。この日の関東平野部は天気があまり良くないということで、行ってみたい地域のなかから一番雨が降らなさそうなところを選んだ結果、群馬県の沼田・水上(沼田市、みなかみ町)に決まりました。水上までは1時間に1本程度の列車本数があり、18きっぷでの日帰りには支障はありません。これが山の向こうの長岡とかになると大変なのですが。


早朝の自己都合行き先変更を経て、上越線沼田駅で下車。なんとかまとまった降雨はしない程度の曇り空です。沼田を歩くのは初めてですが、まずは駅前の急坂にたじろぎました。滝坂という二車線道路の坂道で、目前に見える山の上に市街地があり、山を巻くように登ります。ほとんどの下車客が車での送迎か路線バスで移動していったのも納得です。「沼」「田」という名称からすると低地が浮かびますが、実態は山の上の都市なのですね。私は市街地へショートカットする階段を目指してひとり坂を登っていきます。


短い商店群を抜けて山の斜面に突き当たるところから始まる階段は木造の屋根付きで、どこか駅通路を思わせる造りです。ケーブルカーの停車場のようでもあります。階段の先の坂にある民家へ、宅配業者の方が下からダッシュしていきました。


坂を登り切って、まず沼田城跡のある沼田公園を一回りしました。城そのものの復元はありませんが、小さな動物舎や鐘楼、いくつかの古い建物を利用した資料館、もちろんスポーツ施設もある大きな公園です。このあたりはまだ桜は咲いていませんでした。平野部は満開の時期。少し北へ来ただけのようでも、けっこう差を感じますね。


公園でトイレを借りて一周した後、市街地へ行ってみました。さほど城下町っぽさはありませんが、時折レトロな建物があります。敷地の間に数十センチの細い排水路があるのはここでもお約束です。


市街地にはコンビニはあるものの、チェーン店はごく少なく、点在する個人商店がほそぼそと営業しています。頑張っているところはそうなのでしょうけれど、集積性はすでに無いも同然です。道路は狭い二車線が多く、歩道のない道路もあり、商店街的には辛い感じです。短くてもしっかりと店の集まった通りがあれば、また違うのですが。




元は飲食店が栄えていたのであろうという形跡はあり、スナックや食堂の建物があちこちに見られます。特に国道南側のあけぼの通りという場所は花街っぽい風景を残していました。また、小狭い路地の雰囲気もなかなか良いですね。こうした小径はないところにはないものですが、沼田はどちらかというと「ある」都市です。



目立つのがグリーンベル21という大型店舗。再開発ビルだそうですが、下層階にまったく店舗がありません。でも自由に入れます。こうした建物も地方都市ではお約束になりつつありますね。沼田の場合、郊外型店舗が集まった場所というのもだいぶ距離があり(点々とはありますが集合しているのは旧市街地から5キロほど西の、ベイシア等のある旧白沢村との境界あたりでしょうか)、徒歩での生活に難渋しそうな地域のように感じました。


スーパーに行きたいと思い鍛冶町というところにある店舗を目指しましたが、ちょうど工事中でした。仕方ないのでそのまま駅へと下っていきます。かなりの標高差のため、見下ろすと絶景です。途中の木々も少ないため、崖下の家の猫も見えるほど。



駅前の精肉店でチキンカツとコロッケを買ってベンチで食べていると、ぽつぽつと雨が。傘がいるほどではないですが、この日は小雨に悩まされました。大した写真は撮らないですが、やはりカメラが濡れるのが難点ですね。




続いて水上駅へと移動します。水上といえば、利根川の谷間にひらけた温泉街。温泉街といえば・・・そう、廃墟ですね!


近年、温泉だけで栄えている街はごくわずかです。どこの温泉街でもホテル・旅館の倒産があり、また旧来の遊技場や飲食店が潰れていますね。そうした街の現実を目に焼き付けることも、見知らぬ街を歩く際の大切な点だと思います。決して馬鹿にするわけではなく、それぞれの街で起こっていること、ひいてはこの国で起こっていることを知る機会ですからね。綺麗に整備された場所を見るのはただの観光でしかなく、私はあまり興味がありません。


温泉とホテルの部屋を往復するだけなら、お客さんに余計なものを見せずにテーマパークのような造りにすることができます。ですが散策好きとしては、そのホテルの外、裏側、そんなところが気になってしまいます。かつて多くの従業員が住んでいたであろうボロボロの住宅、旅館の旧館、客室からは見えないであろう関連設備、そして廃墟となった大きなホテルの建物。私にとってはすべてがその街の歴史遺産です。そこに暮らす人々がそれをどこまで「財産」にするかは、また別の話です。



水上の気温はおそらく10度以下。まだ山のところどころに雪が残り、湿気も感じます。さすがに空気がシンと冷えていて、沼田と比べても5度は低かったと思いますが、私は散策にはこんな気温と湿度のほうが好みです。15度を超えると、体温調節が面倒ですからね。5度から10度くらいならば汗も出ず快適です。


水上では先ほど沼田で入れなかったスーパーにも立ち寄りました。地元産の麺類が安く、400g入りのゆで麺が100円(税抜き)でした。この時期なら要冷蔵の商品もある程度持ち帰りできるだろうと思い、ゆで麺の「おっきりこみ」と生そば、干し梅を買いました。ちゃんとレシートも確保しました(私にとってはこれも想い出になる品です)。よその地域のスーパーの楽しみ方についてはまた別の記事にしようと思っています。


水上では土産物店などの並ぶ駅前の集落と、川を挟んだ温泉街・国道側、およびその裏側などけっこういろんな道を歩いて、散策欲を満たすことができました。平日であり天候もあまり芳しくないということもあって、河川敷の公園などに人影はありませんでしたが、個人的には歩くのに良いスケールの街で、温泉など行かなくても充分見ておいて良かったと思える町並みでした。ま、もともとみんなで入るタイプの温泉や銭湯は好きではないのですけどね。

とりあえず、良い気候のなかスッキリと散策することができました。本当ですよ。少しでもそれが伝われば幸いです。

2 件のコメント:

  1. 平成の町村合併で水上町と月夜野町と新治村が纏まって「みなかみ町」という味わいもへったくれもない町名になってしまったことが残念でなりません
    それは渋川市やみどり市も同様
    その土地の名前の由来が分からなくなってしまうような気がして元県民のオバチャンはさみしい限りさ

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    1. コメントありがとうございます。
      そうですね、日本の地名は表に出すキレイなものとして考えられてしまうせいか、
      変に見栄を張ったりどれにするか揉めたり、
      流れをぶった切ってイメージだけのおかしな地名を考案したりと、
      長らくその土地にある歴史を軽視してるところがありますね。

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